大阪地方裁判所 昭和41年(ワ)4941号 判決
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〔判決理由〕(二) 条理に基づく請求について。
条理の法源性については問題があるが、これを肯定するとしても明治八年の裁判事務心得(大政官布告一〇三号)にあるとおり、或る具体的生活事実関係について規律すべき制定法(成文)又は慣習法がないとき又はその法規の具体的内容が示されていないときにおいて始めて潜在的理念としての条理により裁判をなすことが要求される。これを本件についてみるに、原告は戦争目的遂行のために土地を軍に売渡した場合、右売買契約において何らの特約がなくとも終戦と同時に一方的に条理に基づき旧売主(又はその一般承継人)において右目的物の返還請求権が発生するというが、条理によるもかかる一方的返還請求権の発生を肯定すべき根拠は見出しえない。
また、原告主張国家総動員法一五条は政府の収用したもので不用に帰した場合一定の条件の下に旧所有者に先買権を認めているが、本件土地は前記のとおり任意契約たる売買により所有権が国に移転したものであつて、右同法一三条三項により収用されたものではなく、右任意契約による場合には当初の特約により後日に対処しえないこともなかつたわけであるから、本件の如き何ら特約のなされていない任意売買において強制収用の場合の前記国家総動員法一五条を条理によるも類推適用すべき余地がない。(増田幸次郎 杉本昭一 古川正孝)